もうすぐヤマハのショルダーキーボードSHS-300を購入して1年になります。
とても気に入っているのですが、ここにきてひとつ困ったことが……
それもあり、同じ鍵盤を採用するキーボード、ヤマハのRemie(PSS-E30)を購入してみました。
購入までの経緯
私のSHS-300を気に入った知り合いの小学生女児が、この春くらいから私のSHS-300をほぼ私物化してしまいます。楽器演奏に興味を持ってくれるのは頼もしいのですが、自分としてはSHS-300が手元にいないとさみしい限り。
というわけで、そこそこ安いキーボードを小学生に当てがい、私のSHS-300を取り返そうと考えたわけです。まあSHS-300も1万4,000円くらいなので十分安いクラスですが。
最初はカシオSA-46でいいかなと思っていたのですが、7月にSA-51へとモデルチェンジすることが判明。しかも高騰して8,800円になっています(一時期3,000円台だったような)。
そこで白羽の矢を立てたのがRemieです。Amazon.co.jpで9,999円(税込)でした。
外観・筐体
女児向けということでどんな可愛らしいものが届くのかと持ったら、実物は思ったよりおもちゃっぽくない。いや可愛らしいのですが、それなりに楽器っぽさを感じるところが秀逸に感じます。
88鍵のPX-S1100の譜面台に置いてみました。サイズ感、伝わるでしょうか。
質量はSHS-300と同じ1.2kg(電池含まず)。これが入るようなカバンはまず見当たりませんが、それさえクリアできたら十分ハンドキャリーができると思います。
鍵盤
SHS-300と同じHQ(High Quality)Mini鍵盤を採用しています。グラついたりカタカタすることはなく、よくできたミニ鍵盤だと思います。鍵盤が戻った時の音もうるさくないし、ミニ鍵盤なのに弾いていて楽しい。
ただしSHS-300と違いタッチレスポンスはありません。まあ、遊びで使う分には問題ないと思います。実際私もSHS-300でタッチレスポンスが扱いきれず、音色によってはよくOFFにしています。
音色
音色数は49(46ボイス+1ドラムキット+2SFXキット)。内訳はピアノ4、エレピ3、オルガン5、ギター4、ベース4、ストリングス6、木管系5、金管5、パーカッション5、シンセサイザー6。
SHS-300はわずか12音色なので、それに比べると豪華です。特にオルガン系に含まれるアコーディオンがSHS-300にも欲しいです。オルガンもこっちの方がいいなあ。ブラスやストリングスも基本的なものが揃っています。
面白いのはシンセ系にキラキラした音や柔らかい音色が多いこと。おそらく女児向けのセレクトなのでしょう。またピチカートストリングスなど、すぐに減衰しきってしまう音色が結構用意されていることに驚きました。これもSHS-300にはない特徴です。
スピーカー
直径8cm、出力1.4W。音質をとやかくいうレベルでのものはないのですが、電源を入れるだけで即弾けるのはやはりいいものです。音量調節が細かくできないのはSHS-300と同じ。
ちなみに背面にヘッドフォン出力があり、ヘッドフォンやパワードアンプなどを接続することが可能。音源の本来の実力を確認できます。
電源
SHS-300と同じく単3乾電池4本が基本。USB充電器も使用できます。あくまでもSHS-300での印象ですが、ほぼ乾電池オンリーで運用しても問題レベルだと思います。
自動伴奏(スタイル)
「スタイル」と呼ばれる自動伴奏機能が内蔵されています。左手でコードを弾くとそれに合わせて伴奏が自動で演奏される機能です。リズム+ベース+バッキングなどで構成される全28パターン。
このスタイルですが、左手の指すべてを使ってコードを指定できる「マルチフィンガー」と、左手の指1本(ルートだけ)だけでコードを指定する「スマートコード」のどちらかが選べます。切り替えは機能ボタン+F3の同時押し。
指1本でコードを演奏できるスマートコードの方がインテリジェントに見えますが、ハ長調以外の曲を弾きたい場合、事前に「スマートコードキー」を設定する必要があります。楽譜の調号に合わせて機能ボタン+G3、もしくは機能ボタン+A3でスマートコードキーを変更しなければなりません。
だったらマルチフィンガーだけでいいのでは? と思ったところ、マルチフィンガーだと右手の音域がスマートコードより狭くなるという制限が。
さらにスマートコードだと2オクターブ使える音域が、マルチコードだと1オクターブ+5音(G3〜C5)になってしまいます。スマートコードは指1本ですみますが、マルチコードは指を最低3本を使うことから、これは仕方がないといえます。
結果的にスマートコードはハ長調の曲でのみ活躍しそう。そもそも女児向けの製品なのでこんなものでしょう。
なお自動伴奏中にミュートボタンを押すことで、ベースとバッキングがミュートされ、リズムだけになります。これだけでもなかなか面白いです。
パネルサスティン
機能ボタン+C2でパネルサスティンのON/OFFができます。
サスティンといっても結構早く減衰するため(オルガンのような持続音でも)、どちらかというと極端なリバーブといった印象です。
ペダルが接続できなくてこういう仕様になっているわけですが(多分)、使ってみるとなかなか心地よい。曲の途中でON/OFFするのは難しいですが、知っておいて損のない機能だと思います。
なお前述のピチカートストリングスなど、もともと減衰が早い曲の場合、サスティンON/OFFでほとんど変化がありません。
一方SHS-300にはサスティンボタンがあって、これは一般的なサスティンを押している間ONになるタイプです。
MIDI
MIDIに関する機能は一切なし。もともと女児向けの製品ですから。SHS-300はMIDI端子とBluetooth MIDIを装備しているので、この辺りも両者のキャラクターづけが異なる点です。
結論
他にも内蔵曲のメロディをオフにして弾けたり、音当てクイズがあったりと、1万円以下にしては盛りだくさんで驚きました。いまどきはこんな感じなんですね。
本体の機能だけをみると、Remieの方がSHS-300より上です。ただしMIDIに対応したSHS-300の方が使い道がたくさんありますし、仕事机に載せて弾くには、奥行きの短いSHS-300の方が扱いやすい。そしてなんといってもSHS-300はショルダースタイルになるところが個人的に熱い。やっぱり取り戻さないとな。
とはいえ長期旅行に持って行くとすれば、いまのところRemieの方が有利に思えます。というのもSHS-300は本体が長いため、大きめのスーツケースにしか入らないからです。まあRemieは結局私の手から離れるわけですが……SHS-300にない機能が面白いので手放すには惜しいなあ、どうしようか(笑)