https://img.honto.jp/item/2/265/360/30763583_1.webp

栃木県佐野市の郷土食「耳うどん」と「大根そば」を野村屋本店でいただく(ご当地麺類を食べる旅:8)

栃木県佐野市のご当地料理で有名なものに、「耳うどん」と「大根そば」があります。その両方をセットで食べられるお店、「野村屋本店」に行ってきました。

「佐野名物セット」をオーダー

昔ながらの地域密着系そば屋といった感じの「野村屋本店」。明治40年創業とのこと。

テーブルのほか小上がりがあります。別棟に座敷も用意されている模様。

そば茶。雨の中傘なしで歩いてきたのですが、これで落ち着きます。

セットが来るまでビールを1杯。

注文したのは「耳うどん」と「大根そば」を組み合わせた「佐野名物セット」。珍しい紫色の蓋です。実物はもっと濃い紫でした。

「耳うどん」「大根そば」とも、それぞれ 1人前より少ないはずですが、いやこのボリュームはすごい(笑)

耳うどん

まずは「耳うどん」から。

お店の公式サイトにあった説明書はこんな感じ。

野州佐野在葛生町仙波(せんば)に、昔から伝わる耳に関した珍しい郷土食があります。 正月三が日に悪魔の耳になぞらえて「ミミうどん」を食べる奇習で、 悪魔の耳を食べてしまえば我が家の話を悪魔に聞かれないのでその年は無事息災で過ごせる。 又、一説には、耳を食べてしまえば悪口が聞こえぬから近所との交際が円満にゆくなどの言い伝えがあります。

出典: www.mimiudon.com

もう1点、別の資料から。

「耳うどん」は、佐野市葛生地区および宇都宮市城山地区に伝わる料理。うどんと言えば、一般的には長細い紐状をイメージするが、耳うどんは少し変わった形状だ。練った小麦粉で作った形が耳の形に似ていることから「耳うどん」と呼ばれる。佐野市では、この耳の形をしたうどんを手に持ち耳に当て「いい耳聞け」とその1年よいことがあるようにと祈る風習がある。 宇都宮市では、星野宮神社の氏子の間で正月の祭礼の際のご馳走として耳うどんを食べたものである。

出典: www.maff.go.jp

最初に汁をひとすくい。醤油ベースで昆布も感じられます。ゆずとしいたけの風味も。これはうまい。滋賀県長浜市の「のっぺいうどん」を思い出す味です。

長浜市 茂美志屋(もみじや)で「のっぺいうどん」を食す(ご当地麺類を食べる旅:4)

主役の「耳うどん」はというと……意外に大きい。そして数もある。下からどんどん出てきます。

ひとつめはざらつきがあり硬く感じたのですが、2個目、3個目と進むうち、つるりとした舌触り&もっちりした食感になりました。小麦の味わいもしっかりあり、確かにこれはうどんです。

麦切り以前の小麦食といったところで、「ほうとう」とかの系統なのでしょう。素朴な味わいの「耳うどん」に、これまた素朴な味の汁がよく合う。

ボリュームもあるため、かつて正月のご馳走だったというのもわかるような気がします。次は冬に食べたいと思いました。

大根そば

一方の大根そば。辛味大根の付け汁で食べるそば……ではなく、そばの上に千切りの大根が載っているというもの。

佐野市の蕎麦屋でよく見られるメニューで、大根を千切りにして、生のまま或いはそばと一緒に茹でて、もりそばの上に載せた料理。一説には食べ物が少なかった時代に、大根の千切りを添えてボリュームアップしたのが始まりともいわれている。

出典: ja.wikipedia.org

そばは米・小麦がとれない地域の作物であり、飢饉に備える救荒食のイメージがあります。それをかさ増しするため大根をプラスする発想とのことで、当時の農村の苦しい状況が偲ばれます。いまとなってはそば・大根ともに貧しいイメージはありませんが。

そばは薄く平らで透明感があり、軽くホシが入っています。長さは短め。

付け汁に大根おろしは入っていません。東京でよくある辛汁といった感じ。大根はあくまで千切りをそばと共に食べるものという位置付けのようです。

大根とそばを一緒に食べてみると……両者の食感が合わさり不思議な感覚。そばの風味に大根の風味がのってきて、食欲を刺激してきます。シャキシャキした食感も面白い。そば自体の旨味も感じられます。大根に辛味はありませんでした。

当然そばだけをすすって飲み込むような食べ方は難しいので、しっかり噛んで食べることになります。これはこれで味わい深いです。

まとめ

「耳うどん」も「大根そば」も、土地の歴史を感じさせる郷土料理ということで、興味深くいただきました。店の雰囲気もそれを深めてくれます。土砂降りの中を歩いて駅まで帰らなければならなかったのですが、雨に打たれながらも大満足でした。

ただしこのセット、量が多いことに注意(笑)。「耳うどん」「大根そば」それぞれ半人前かと予想していたのですが、明らかにそれ以上あります。

隣の席の奥さんが一人前の「大根そば」を頼んでいましたが、そちらはさらに巨大なそば皿でしたから。1,130円のセットでこのボリュームはうれしいですね。

○ご当地麺類を食べる旅

北海道
・小樽あんかけ焼そば
・豪雪うどん
・にしんそば
青森県
・黒石つゆやきそば
岩手県
・わんこそば
・盛岡冷麺
・ひっつみ
・八斗
・じゃじゃ麺
宮城県
・石巻焼きそば
・温麺
秋田県
・稲庭うどん
・横手やきそば
・男鹿しょっつる焼きそば
山形県
・麦切り
・ひっぱりうどん
福島県
・高遠そば
・檜枝岐裁ちそば
・会津カレー焼きそば
茨城県
・けんちんうどん
・西山うどん
栃木県
・出流そば
・じゃがいも入りやきそば
・スープ入り焼きそば
大根そば NEW!!
ポテト入りやきそば
耳うどん NEW!!
群馬県
・おきりこみ
・水沢うどん
・太田焼きそば
埼玉県
・こうのす川幅うどん
・加須うどん
千葉県
東京都
神奈川県
新潟県
・イタリアン
・へぎそば
富山県
・氷見うどん
・大門そうめん
石川県
福井県
・越前おろしそば
山梨県
・ほうとう
・吉田のうどん
長野県
ローメン
・とうじそば
・すんきそば
・戸隠そば
・凍りそば
・富倉そば
・ひんのべ
・おしぼりうどん
岐阜県
・香露うどん
静岡県
富士宮やきそば
愛知県
・芋川うどん
・重箱うどん
味噌煮込みうどん
あんかけスパゲティ
きしめん
三重県
伊勢うどん
滋賀県
伊吹そば
近江ちゃんぽん
のっぺいうどん
・焼き鯖そうめん
・すやき
京都府
にしんそば
・宮津カレー焼きそば
・鬼そば
・一本うどん
キーシマ
大阪府
・かすうどん
・おじやうどん
・うどんすき
兵庫県
・出石皿そば
・ぼっかけうどん
・もちむぎめん
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
・出雲そば
岡山県
広島県
山口県
・瓦そば
徳島県
・たらいうどん
香川県
讃岐うどん
・なすそうめん
・小豆島そうめん
・打ち込み汁
・しっぽくうどん
愛媛県
・鯛そうめん
高知県
・あおさうどん
福岡県
・かしわうどん
・中世うどん
佐賀県
長崎県
長崎ちゃんぽん
皿うどん
・五島うどん
熊本県
太平燕
大分県
・やせうま
・鮑腸
・だんご汁
宮崎県
釜揚げうどん
鹿児島県
沖縄県
沖縄そば
・そうみんチャンプルー

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です