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ものすごい数の世界の楽器を見ることができる「浜松市楽器博物館」

昨年の12月3日、石松餃子を食べてお腹いっぱいになったあと、浜松駅の近くにある浜松市楽器博物館に立ち寄りました。

ヤマハ、カワイ、ローランドなど多数の楽器メーカーを擁する浜松市の公的施設ということで、外観からしてさすがに立派です。駅から歩いて10分程度と立地も抜群。

公的な楽器の博物館ということで館内はどうなっているのかというと、世界地域別に楽器が分類されて並んでいます。しかもその物量がすごい。

■世界の楽器が大量に

第1展示室は「アジアと日本の楽器」。入口をくぐると、早速ミャンマーの打楽器「サイン・ワイン」がお出迎え。こうした「これ本当に楽器なの?」というスケールのものが多くてびびります。

こちらはインドネシアのガムラン。有名な楽器(青銅琴)なのでシンセにも良くサンプリング音が入っていますが、ここまで大規模な編成で演奏するものとは知りませんでした。

バリ島の竹琴「ジュゴッグ」。ばかでかい木琴みたいなものだと想像しますが、スケール感が狂ってきます。どんな低音を響かせるのでしょうか。

ペルソナで見るやつ。楽器ではありません。

韓国の楽器には太極紋があるなど、地域性・民族性が見られて興味深いです。

ミャンマーの竹琴「バッタラー」。歴史的に音楽は神事と関わりが深いためか、それっぽい豪奢な楽器が目につきます。教会やモスクの例を見るに、宗教が絡むと海外の人は細かい装飾を施しがちになるのだと思います。

モンゴルの馬頭琴。現在の馬頭琴の弦はナイロン製だとか。確かにビニール紐っぽい。

地下に降りるとそこは第2展示室。オセアニア・アフリカ・アフリカ・アメリカ・ヨーロッパの楽器が並びます。こちらもものすごい数。

「ガラガラ」という同じ名前の楽器がいくつか展示されていました。オセアニアとアフリカに分布しているようです。いずれも同じような仕組みで、その名前通りの音が想像できます。地域を隔ててもガラガラという擬音は同じなのでしょうか。

「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」でカッシーワが弾いていた「コンサーティーナ」。まさか本物を目にすることができるとは。かっこいい。

ヨーロッパでは中世から近世、現代にかけて、楽器がどんどん進化した模様。これは「ストロー・ヴァイオリン」。見た目の通り、弦を弾いて金管を鳴らすというギミック。イギリス製です。

現代に近づくと、アフリカやラテンアメリカでは身近な材料を使った楽器も。これはボリビアの「ダンボールシート」。

ドラム缶から作られたことで有名な「スティールパン」。MIDIのGM規格、115番ですね。こんなに大きかったとは。

展示してある楽器に触れることは御法度ですが、備え付けられたヘッドフォンでどんな音がするか確かめることができます(すべての楽器ではありませんが)。さらに、受付でイヤフォンガイドを借りることができ、それを使っても特定の楽器の音を聞けます。せっかくの楽器博物館ということで、イヤフォンガイドはおすすめです。

もちろん和楽器のコーナーも。

■ピアノだけでもクラクラするほどの数

第3展示室では鍵盤楽器が特集されています。ハープシコードからオルガン、ピアノへと続く進化に加えて、鍵盤がハンマーアクションになるまでの過程や、ピアノが大衆化するまでの流れを追った構成。ピアノをやっている人ならとても見応えがある展示だと思います。ピアノだけでもとにかくものすごい数です。

ピアノ作りの名匠が、王族・貴族のための製作する当時のピアノ。作り手の名前が残っている工芸品です。現在のピアノも美しいけど、当時の上流階級の好みがわかる豪華な装飾も素晴らしい。

電灯がなかった頃の燭台付ピアノ。これも雰囲気ある。ホラーゲームの背景にあったら敵かと思いそう。

自動ピアノ。アメリカを中心に流行したけどラジオやレコードの普及や世界恐慌などにより、1930年代には廃れたとのこと。

コンピューターの紙テープ(穿孔テープ)の元祖、あるいはいまでもYouTubeで目にするピアノロールの祖先か。要はオルゴールを転用した仕組みなのでしょ

■あこがれの電子楽器も

2階は電気・電子楽器のコーナー。個人的には一番楽しみにしていました。憧れの楽器が大量に並ぶ夢のような空間です。

有名な「テルミン」。発明当時のものではなく、近年に作られた製品とのこと。意外に大きな装置だった。

「ハモンドオルガンB-3」。エレクトーンから楽器に入ったので、本物のハモンドオルガンにはいまでも強い憧れがあります。近くにはロータリースピーカーもありました。

パネルで知った国内オルガン市場の話。個人的に興味深かったので引用します。

電子オルガン市場競争

日本で開発される電子オルガンは、欧米と異なり、パイプオルガンの再現が最終目的というわけではありませんでした。そのため、たとえばパイプオルガンのフルー管ではなく、管楽器のフルートをイメージした音色が搭載されるなど、既存楽器の模倣に留まらない、独自の発展を遂げました。

その代表的な電子オルガンが、ヤマハ(日本楽器)の「エレクトーン」シリーズや、河合楽器の「ドリマトーン」シリーズです。

また、オーディオ技術を持つ東芝、日本ビクター他の音響機器メーカーも電子オルガンの製造・販売に着手しました。そして電子オルガン市場競争がおこります。各社はこぞって、「新機能」の搭載、楽器のための楽譜類の出版、需要増につながる「音楽教室」の設立、音楽愛好者のための多彩な「イベント」を打ち出しました。結果、その勢いは世界の電子オルガンをもリードしていくことになったのです。

浜松市楽器博物館の説明パネルより

子どもだった当時、ピアノからなぜエレクトーンに転向されられたのが謎でしたが、世間的に流行っていたからなのでしょう。なんかうちの親らしい。

フェンダー・ローズ。これも有名ですね。実機を見ることができてラッキー。

日本製のシンセサイザー、キーボードも多数あります。こちらはヤマハのDX7。今見てもかっこいいですね。

こんなところに私の愛機、reface CPが。ものすごく気に入っています。

電気・電子楽器コーナーと併設されていたのが、戦後の日本製楽器の歴史。高度成長期には世界を相手にピアノ以外にもオルガンやアコーディオンの生産が立ち上がり、今も存続する企業やブランドにつながっています。

トンボのアコーディオンもその1つ。

こちらも日本製で、その名も大和オルガン。着物姿の女性が演奏することを想定して、下部に覆いが設けられています。

■まとめ

貴重な楽器が所狭しと並べられていて、楽器好きなら感動すること間違いなしの博物館。ただしいずれも手を触れることはNGです。価値を考えると、まあ当然ですよね。

試奏できる楽器はないの? と思っていたら、2階に様々な現行の楽器を自由に試せるスペースがありました。これは楽しめる! と思いきや、小学生の団体が楽しんでいたので、おじさんはそっと身を引きました。未来のアーティストたちに譲りましょう。

王道のものから珍しいものまで、楽器が所狭しと並べられらた博物館。楽器演奏者だけでなく、音楽が好きな人、特にクラシックや民族音楽が好きな人には特に楽しめる場所だと思います。また時間を作って行きたいな。

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